◇生きる力 - 養生の基本
・養生とは人が正しく生きる道
人の身は父母を本とし、天地を初とする。
命を失ふ事、天地父母へ不幸のいたり、愚なる哉。
養生の術をまなんで、よくわが身をたもつべし。是人生第一の大事なり。
・めぐりのいい身体をつくる
気は、一身体の内にあまねく行わたるべし。むねの中一所にあつむべからず。
いかり、かなしみ、うれひ、思ひ、あれば、胸中一所に気とゞこほりてあつまる。
・脳の快感に溺れるな
一時の慾をこらへずして病を生じ、百年の身をあやまる。
恣なると忍ぶとは、是寿と夭とのわかるゝ所也。
◇飲食の心得 - 何をどう食べるか
・バランスのとれた食べ方で健康は決まる
五味偏勝とは一味を多く食過すを云。
五味をそなへて、少づゝ食へば病生ぜず。
諸肉も諸菜も同じ物をつゞけて食すれば、滞りて害あり。
・その食には生気があるか
諸の食物、皆あたらしき生気ある物をくらふべし。
・食事時にマイナスの感情を持ち込むな!
怒の後、早く食すべからず。
食後、怒るべからず。
憂ひて食すべからず。
食して憂ふべからず。
◇日々是好日 - 心をととのえる
・六、七割よければよしとする
凡の事十分によからんことを求むれば、わが心のわづらひとなりて楽なし。
いさゝかよければ事たりぬ。
十分によからん事を好むべからず。
・反省しても後悔するな
過あらば一たびはわが身をせめて二度悔ず、只天命をやすんじてうれへず、是心気をやしなふ道なり。
・怒りをコントロールする
およそ養生の道は忿慾をこらゆるにあり。
◇健康配慮社会の到来 - 身体をととのえる
・自分の身体に合った朝の行動パターンを決める
凡朝は早くおきて、手と面を洗ひ、髪をゆひ、事をつとめ、食後にはまづ腹を多くなで下し、食気をめぐらすべし。
・元気の収支決算を考える
人、毎日昼夜の間、元気を養ふ事と元気をそこなふ事との、二の多少をくらべ見るべし。
・気をめぐらせ、エネルギーを発散
常に身を労働すれば気血めぐり、食気とゞこほらず、是養生の要術也。
時にうごき、時に静なれば、気めぐりて滞らず。
◇年を重ねるほど「ほぐれる」生き方 - 人生の楽しみ
・よく生きるには、よく働きよく学べ
長生すれば、楽多く益多し。
日々にいまだ知らざる事をしり、月日にいまだ能せざる事をよくす。
この故に学問の長進する事も、知識の明達なる事も、長生せざれば得がたし。
・正しい三楽
およそ人の楽しむべき事三あり。
一には身に道を行ひ、ひが事なくして善を楽しむにあり。
二には身に病なくして、快く楽むにあり。
三には命ながくして、久しくたのしむにあり。
富貴にしても此三の楽なければ、真の楽なし。
・年を重ねるほど、ほぐれ感が大事
怒なく、うれひなく、過ぎ去たる人の過を、とがむべからず。
我が過を、しきりに悔ゆべからず。
人の無礼なる横逆を、いかりうらむべからず。
是皆、老人養生の道なり。
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